こんにちは、LGBTに詳しいプロのWEBライターです。今回は、日本におけるLGBTのパートナーシップ制度について詳しく解説します。

パートナーシップ制度とは、同性カップルや性的少数者のカップルが結婚に相当する関係であると認められる制度です。この制度は、日本ではまだ法的に認められていない同性婚の代替として、各地の自治体が独自に導入しています。パートナーシップ制度のメリットやデメリット、導入されている自治体や申請方法など、気になることをわかりやすくお伝えします。パートナーシップ制度に興味がある方はもちろん、初心者の方でも楽しく読めるように書いてみました。ぜひ最後までご覧ください。
パートナーシップ制度とは何か
パートナーシップ制度とは、同性カップルや性的少数者のカップルが結婚に相当する関係であると認められる制度です。この制度は、日本ではまだ法的に認められていない同性婚の代替として、各地の自治体が独自に導入しています。パートナーシップ制度は、結婚とは異なり、法的な効力はありませんが、社会的な配慮やサービスを受けやすくする効果があります。
パートナーシップ制度の歴史は、2015年4月1日に東京都渋谷区が日本で初めて導入したことから始まります1。渋谷区では、「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」で、「男女の婚姻関係と異ならない程度の実質を備えた、戸籍上の性別が同じ二者間の社会生活における関係」をパートナーシップと定義しました1。区内に同居し、かつ公正証書による所定の契約を作成しているカップルに、区が証明書を交付するしくみを創りました1。
その後、同年11月5日に東京都世田谷区が「世田谷区パートナーシップ宣誓制度」を開始しました2。世田谷区では、20歳以上で区内在住の同性カップルが、区役所で互いが人生のパートナーであることの宣誓書に署名します2。区がその宣誓書を受領し、宣誓書の写しと受領証を交付する制度をつくりました2。公正証書の作成などは要件とされていません2。
これらの自治体の取り組みをきっかけに、全国各地で同様の制度が普及しつつあります。2023年6月14日時点で、導入自治体は少なくとも328あり345 、全日本人口の約65.2%がカバーされています。制度による交付された累計カップル組数は4186組となっています。
パートナーシップ制度のメリット
パートナーシップ制度には、以下のようなメリットがあります。
社会的な配慮やサービスを受けやすくなる
パートナーシップ制度によって、同性カップルや性的少数者のカップルが家族であるとの理解を広げることができます。これによって、病院面会や緊急連絡先などにおける家族扱いや住宅賃貸の場面での対応がスムーズになることが期待されます。また、導入自治体が公営住宅に門戸を開く動きもあります。
さらに、生命保険の受取人指定、携帯電話の家族割、航空会社でのマイルの共有などに対応したり、社内の福利厚生に同性パートナーを含めたりする企業も出始めています。これらのサービスや制度は、パートナーシップ証明書を提示することで利用できる場合が多いです。
自分たちの関係を公式に認められる
パートナーシップ制度によって、同性カップルや性的少数者のカップルが自分たちの関係を公式に認められることができます。これは、自分たちのアイデンティティを尊重し、肯定し、大切にすることです。自己愛は、他人からの愛を受け入れる前提条件でもあり、他人への愛を与える源泉でもあります。パートナーシップ制度は、自分たちの幸せを求めることを後押ししてくれます。
パートナーシップ制度のデメリット
一方で、パートナーシップ制度には、以下のようなデメリットもあります。
法的な効力がない
パートナーシップ制度は、結婚とは異なり、法的な効力がありません。つまり、民法や戸籍法など国の法律では認められていません。そのため、相続や税金、親権や養子縁組などに関しては、同性カップルや性的少数者のカップルは異性カップルと同じ権利や義務を持てません。また、自治体ごとに制度内容が異なるため、引っ越しや旅行などで他の自治体に行った場合にも同じ扱いを受けられるとは限りません。
このような法的な不利益を防ぐためには、遺言や任意後見契約など法的備えをしておくことが大切です。しかし、これらの書類作成には費用や手間がかかりますし、すべての問題を解決できるわけではありません。例えば、遺言は死亡後に効力を発するものであり、生前の権利や義務には関係しません。任意後見契約は本人の判断能力が低下した場合に有効になるものであり、本人が健全な判断能力を持っている場合には適用されません。また、これらの書類作成には専門家の協力が必要であり、その費用は高額になる場合もあります。
身バレやゲイバレのリスクがある
パートナーシップ制度によって、同性カップルや性的少数者のカップルが自分たちの関係を公式に認められることができますが、同時に身バレやゲイバレのリスクもあります。身バレやゲイバレとは、自分がLGBTであることを周囲に知られてしまうことです。パートナーシップ制度では、申請時に本人確認や住所確認などの書類を提出する必要があります。また、交付された証明書を提示することでサービスや制度を利用することができます。しかし、これらの書類や証明書は、自分がLGBTであることを証明するものでもあります。そのため、これらの書類や証明書が第三者に見られたり、漏洩したりすることで、自分がLGBTであることが周囲に知られてしまう可能性があります。
身バレやゲイバレは、自分のプライバシーや人権を侵害するだけでなく、家族や友人、職場や学校などの人間関係に影響を与える可能性があります。例えば、理解や受容のない家族から拒絶されたり、友人から孤立されたり、職場や学校で差別やいじめを受けたりすることもあります。また、身バレやゲイバレは自分の心理的な負担にもなります。例えば、自己否定や自己嫌悪に陥ったり、不安や恐怖を感じたりすることもあります。
パートナーシップ制度の導入自治体と申請方法
パートナーシップ制度は各地の自治体が独自に導入しています。そのため、導入自治体や申請方法は自治体ごとに異なります。ここでは、2023年6月14日時点で導入している自治体と申請方法の一例を紹介します。
導入自治体
2023年6月14日時点で導入している自治体は少なくとも328あり 、全日本人口の約65.2%がカバーされています。導入自治体は以下の通りです。
(都道府県)茨城県、群馬県、三重県、大阪府、佐賀県
(政令指定都市)札幌市、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、相模原市、新潟市、浜松市、京都市、
大阪市、堺市、岡山市、広島市、北九州市、福岡市、熊本市
(23区)港区、文京区、世田谷区、渋谷区、中野区、豊島区、足立区、江戸川区
ほか